【改訂版】日本の魂（たましい）が宿（やど）るエンターテインメント「歌舞伎（KABUKI）」
日本の夏、京都の「祇園祭」が長い歴史を持つように、日本の演劇（えんげき）にも世界に誇（ほこ）れる長い歴史があります。 それが、ユネスコ無形文化遺産（むけいぶんかいさん）にも登録されている「歌舞伎（かぶき）」です。
単なる劇（げき）ではなく、音楽、踊り、そして色彩（しきさい）豊かな美術が一つになった、まさに「日本のオペラ」とも言える総合芸術（そうごうげいじゅつ）です。
歌舞伎の歴史：ロックな精神から始まった？
歌舞伎の歴史は、今から約400年前（1603年頃）にさかのぼります。 実は、歌舞伎を始めたのは「出雲の阿国（いずものおくに）」という女性でした。京都の川辺で、彼女が披露した新しいスタイルの踊りが始まりとされています。
「かぶく」とは？
「歌舞伎」という名前は、「傾く（かぶく）」という言葉から来ています。これは「普通ではない、派手（はで）な格好（かっこう）をして常識（じょうしき）外れなことをする」という意味でした。
つまり、歌舞伎はもともと、当時の最先端（さいせんたん）を行く「ロック」で「パンク」な精神から生まれたのです。
その後、風紀（ふうき）を守るために女性が演じることが禁止され、現在のような「男性だけで演じる」スタイルに変わっていきました。
★ ここでチェック！
- 起源（きげん）： 17世紀初め、京都で女性が始めた
- 名前の由来： 「かぶく（常識にとらわれない）」精神
- 変化： 女性から男性だけの演劇へ進化
歌舞伎のここがすごい！3つの魅力
① 「女形（おんながた）」の美しさ
歌舞伎最大（さいだい）の不思議で、最大の魅力が「女形」です。 男性の役者が、女性よりも女性らしく見えるように、指先の動きから歩き方、声の出し方まで計算し尽くして演じます。「本物の女性以上の美しさ」を追求（ついきゅう）した、究極（きゅうきょく）の演技（えんぎ）に注目してください。
② 決まりポーズ「型（かた）」の美学
歌舞伎には、何百年も受け継（つ）がれてきた演技の決まりごと「型（かた）」があります。 泣くとき、笑うとき、怒るとき、すべてに美しい「型」があります。 特に、物語のクライマックスで役者が動きを止め、ポーズを決める「見得（みえ）」は圧巻（あっかん）です。役者が観客（かんきゃく）に向かってエネルギーを放出する瞬間です。
③ 生演奏（なまえんそう）の音楽
舞台の端（はし）や裏側（うらがわ）では、常に音楽が演奏されています。
- 三味線（しゃみせん）：
場面の雰囲気（ふんいき）や登場人物の気持ちを音で表現します。
- ツケ（効果音）：
役者が走ったり、ポーズを決めたりする時に、木の板を打ち鳴らして「バタバタ！」「バッ！」と大きな音を出します。これにより、動きの迫力（はくりょく）が倍増（ばいぞう）します。
歌舞伎の役者と『～枚目』の世界
歌舞伎では、役者は演じる役柄によって「～枚目」と分類されました。
- 一枚目：滑稽（こっけい）でユーモラスな役を演じる役者
- 二枚目：端正（たんせい）で格好いい若者役を演じる役者
- 三枚目：愚（おろ）か者やコミカルな役を演じ、笑いを取る役者
この分類が転じて、歌舞伎以外でも「一枚目」「二枚目」「三枚目」といった表現が、性格や外見の特徴（とくちょう）を指す言葉として定着しました。例えば、ハンサムな男性を「二枚目」と呼ぶのも、この歌舞伎の慣習（しゅうかん）から来ています。
初めての歌舞伎体験ガイド
劇場（げきじょう）へ行こう
東京の「歌舞伎座（かぶきざ）」は、建物自体が伝統的な日本建築（けんちく）で見ごたえがあります。劇場に入ると、そこはもう別世界です。
楽しみ方のコツ
- イヤホンガイドは必須（ひっす）：
英語の解説ガイドを借りれば、言葉の壁（かべ）はなくなります。
- 「一幕見席（ひとまくみせき）」：
全編（ぜんぺん）見る時間がなくても、好きな幕（まく）だけを選んで、短時間・低価格で鑑賞（かんしょう）できるシステムがあります（※劇場による）。
- お弁当文化：
休憩時間（きゅうけいじかん）に座席でお弁当（幕の内弁当）を食べるのも、歌舞伎ならではの楽しみの一つです。
アドバイスとマナー
- 静かに、でも心は熱く：
上演中（じょうえんちゅう）は私語（しご）や撮影（さつえい）は禁止ですが、感動したら大きな拍手（はくしゅ）を送りましょう。
- 服装（ふくそう）：
特別なドレスコードはありません。Tシャツやジーンズでも大丈夫ですが、少しおしゃれをしていくと気分が盛り上がります。
まとめ
歌舞伎は、古いけれど常に新しい発見があるエンターテインメントです。 400年前の「かぶく」心を受け継いだ、豪華絢爛（ごうかけんらん）な日本の美の世界。ぜひ一度、その目で確かめてみてください。一生の思い出になるはずです。
