あそぶ
2025.10.13

阿波踊り(あわおどり)― おどって楽しむ徳島のまつり 

阿波踊り(あわおどり)は、徳島県(とくしまけん)でおこなわれる、日本最大級(にほんさいだいきゅう)のおどりのおまつりです。

 

毎年81215日の徳島市の阿波おどりが最も盛大(せいだい)に開催(かいさい)されます。400年以上の歴史(れきし)があり、たくさんの「連(れん)」とよばれるグループが、それぞれのスタイルでおどりを見せます。  

 

このおどりは「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損(そん)そん」ということばがあるように、見るだけでなく、だれでも参加(さんか)して楽しめるのが大きなポイントです。

 

本場(ほんば)の徳島以外では、東京都の高円寺(こうえんじ)や埼玉県の南越谷(みなみこしがや)でも開催されています。

阿波踊りのことば

阿波踊りをもっと楽しんでいただけるよう、基本的(きほんてき)な用語(ようご)を紹介(しょうかい)します。普段(ふだん)あまり耳にしない言葉(ことば)もあるかもしれませんので、ぜひ参考(さんこう)にしてみてください。

★連(れん)

阿波おどりで踊るチームや団体のことを「連」と呼(よ)びます。昔からある有名連、企業(きぎょう)が運営(うんえい)する連、学生による連など、さまざまな種類(しゅるい)があり、その数は1,000以上にもなります。

★ぞめき

阿波踊り特有(とくゆう)の二拍子(にびょうし)のリズムで、明るく陽気(ようき)な雰囲気(ふんいき)を生(う)み出(だ)します。もともとは「騒(さわ)がしい」という意味(いみ)の言葉で、賑(にぎ)やかに盛(も)り上がって踊る様子(ようす)を表(あらわ)しています。

★よしこの

阿波踊りで歌(うた)われる歌の名前です。その起源(きげん)ははっきりしていませんが、江戸時代後期(えどじだいこうき)に流行(りゅうこう)した民謡(みんよう)で、藍商人(あいしょうにん)が京都や大阪から徳島に伝(つた)えたといわれています。

★正調(せいちょう)

「正(ただ)しく受(う)け継(つ)がれてきた歌い方や演奏(えんそう)の調子(ちょうし)」という意味です。本来(ほんらい)は音階(おんかい)の正確(せいかく)さを指(さ)しますが、阿波踊りでは「正統派(せいとうは)」や「本格的(ほんかくてき)」といった意味でも使(つか)われます。

★流(なが)し

昼間(ひるま)に三味線(しゃみせん)などの楽器(がっき)だけを奏(かな)でながら、町の通(とお)りを歩(ある)くことを指します。踊らずに音だけで芸(げい)を披露(ひろう)する、伝統的(でんとうてき)なスタイルです。

★ヤットサー

踊りの始(はじ)まりや途中(とちゅう)で使われる掛(か)け声(ごえ)です。
「ヤットサー」と呼(よ)びかけると、周囲(しゅうい)が「あ、ヤット、ヤット」とこたえるのが定番(ていばん)で、
「久(ひさ)しぶり!元気(げんき)だった?」という親(した)しみの気持(きも)ちが込(こ)められています。

★鳴(な)り物(もの)

阿波踊りの演奏を支(ささ)える楽器をまとめて呼ぶときの名前です。三味線(しゃみせん)、大太鼓(おおだいこ)、締太鼓(しめだいこ)、鉦(かね)、笛(ふえ)、鼓(つづみ)などを意味します。

★高張(たかは)り提灯(ちょうちん)

長(なが)い竹竿(たけざお)の先(さき)に、連の名前が書(か)かれた提灯(ちょうちん)をふたつ掲(かか)げて先頭(せんとう)を歩く人のことです。連の進(すす)む速(はや)さを調整(ちょうせい)する重要(じゅうよう)な役割(やくわり)を持ち、風(かぜ)にあおられるため体力(たいりょく)が求(もと)められます。

阿波踊りのはじまり

阿波おどりは約400年の歴史を持ち、今では日本を代表(だいひょう)する伝統芸能(でんとうげいのう)として世界にも知られています。


その起源(きげん)、つまりはじまりについては、いくつかの説があります。

1. 築城起源説(ちくじょう きげんせつ)

天正(てんしょう)15年(1587年)、蜂須賀家政(はちすか いえまさ)が徳島城(とくしまじょう)を完成させた時、城下(じょうか)の人々が祝(いわ)って踊ったのが始まりとする説。

2. 風流おどり起源説(ふうりゅうおどり きげんせつ)

日本の伝統芸能のひとつで、ゆっくりとした動きやお面を使った舞台芸術(ぶたいげいじゅつ)、「能楽(のうがく)」の源流(げんりゅう)である「風流」の影響(えいきょう)を受けた踊りが原型だという説も。風流とは、優雅(ゆうが)で美しい遊びや芸能で、祭りなどで行われる踊りや仮装行列(かそうぎょうれつ)なども含(ふく)まれます。天正6年(1578年)に十河存保(そごう まさやす)が勝瑞城(しょうずいじょう)で行った「風流おどり」が起源とされています。

3. 盆おどり起源説(ぼんおどり きげんせつ)

阿波おどりはもともと旧暦(きゅうれき)7月の盆踊りから発展(はってん)したとする説。「俄(にわか)」や「組(くみ)おどり」などの形が派生(はせい)していったといわれます。

 

その後、藍(あい)や塩(しお)の交易(こうえき)で繁栄(はんえい)した徳島(とくしま)で、藍商人(あいしょうにん)たちが祭(まつ)りを豪華(ごうか)にし、市民(しみん)にも広まっていきました。戦後(せんご)には復興(ふっこう)の象徴(しょうちょう)として発展し、現在(げんざい)のような大規模(だいきぼ)な祭りとなりました。

踊りの3スタイル

男踊り

「男踊り」は、力強くエネルギッシュな動きが特徴(とくちょう)です。腕(うで)を大きく振(ふ)り上げ、足を高く上げながら踊るなど、全身を使ったパフォーマンスが中心です。腰(こし)を低く落とす姿勢(しせい)が重要(じゅうよう)で、この低い姿勢から繰(く)り出す動きによって、迫力(はくりょく)ある表現(ひょうげん)が生まれます。

 

足さばきは素早(すばや)くリズミカルで、祭りの太鼓や笛のテンポと一体となって観客(かんきゃく)を引き込みます。個人のスキルも大切ですが、集団(しゅうだん)で息を合わせて踊る統一感(とういつかん)、多くの踊り手がシンクロした動きで舞(ま)う光景(こうけい)も見どころの一つです。

女踊り

「女踊り」は、女性ならではの優雅(ゆうが)でしなやかな動きが魅力(みりょく)です。手先(てさき)や足さばきが特徴的で、全体的にやわらかく落ち着いた所作(しょさ)が求められます。美しさや華(はな)やかさを引き立てるために、ゆるやかで上品な振り付けが多く取り入れられています。

 

衣装(いしょう)は、頭に編み笠(あみがさ)をかぶり、下半身(かはんしん)にすそよけ(おこし)を巻いて浴衣(ゆかた)をたくし上げるのが特徴です。手には白い手甲(てご)、足元(あしもと)は利休下駄(りきゅうげた)、帯(おび)は黒が基本スタイルです。

女男踊り

「女男踊り」は、女性が男踊りのスタイルで踊る独特(どくとく)な踊り方です。男性的な力強さと女性のしなやかさを合わせた、迫力と躍動感(やくどうかん)のある踊りです。大きなジャンプや素早いステップなど、全身を使った大胆(だいたん)な動きが特徴で、ときには踊り手同士がぶつかるような振り付けもあり、観客を魅了(みりょう)します。女性が男踊りを踊ることで、勇(いさ)ましさと華やかさが融合(ゆうごう)した新しい表現が生まれます。

見どころ

  • にぎやかな音楽(おはやし)といっしょに、男踊り・女踊り・女男踊りのスタイルが見られます

  • 夜になると、まち中でたくさんのグループがパレードのようにおどります 。
  • 子どもやお年寄りのグループもあり、家族みんなで楽しめます  。

楽しみ方

  • 観客として見るだけでなく、「にわか連(にわかれん)」でその場で参加することもできます 。
  • ゆかたや阿波踊りの衣装をレンタルして、まつり気分をたのしみましょう 。
  • おどりの練習(れんしゅう)ができる体験(たいけん)イベントもあります 

マナーとアドバイス

  • 歩きながらの撮影(さつえい)は危ないのでやめましょう 
  • おどりのじゃまにならないように、場所をまもって見ましょう 
  • とてもあついので、水分(すいぶん)をしっかりとりましょう  

おわりに

阿波踊りは、見て楽しい、参加してもっと楽しいまつりです。日本の夏をおどりながら体験してみませんか?きっとすてきな思い出になります。  

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