伊勢神宮(いせじんぐう) 〜古くから日本人に親しまれる大きな神宮〜

三重県(みえけん)伊勢市(いせし)にある「伊勢神宮(いせじんぐう)」は、「お伊勢さん」や、日本人の「心のふるさと」とも呼(よ)ばれる、もっとも有名な神社(じんじゃ)のひとつです。仏教(ぶっきょう)のお寺(てら)とはちがい、伊勢神宮は神道(しんとう)の施設(しせつ)です。
神宮は、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)という名の外宮(げくう)と、皇大神宮(こうたいじんぐう)と呼ばれる内宮(ないくう)の二つから成(な)り立っています。
その他にも、14所の別宮(べつぐう)、43所の摂社(せっしゃ)、24所の末社(まっしゃ)、42所の所管社(しょかんしゃ)、などの125社からできていて、東京の世田谷区(せたがやく)とほぼ同じ面積(めんせき)がある大きな神宮です。
外宮(げくう)
外宮は伊勢市の中心部(ちゅうしんぶ)・豊川町(とよかわちょう)にあり、約1500 年の歴史(れきし)を持っています。ここでは、衣食住(いしょくじゅう)と産業(さんぎょう)の守り神(がみ)である豊受大御神(とようけのおおみかみ)をまつっています。豊受大御神は、内宮にまつられている天照大御神(あまてらすおおみかみ)にお食事(しょくじ)を供(そな)える神として知られています。
「お伊勢参(いせまい)りは外宮から」というならわしがあり、参拝者(さんぱいしゃ)はまず外宮をおとずれるのが伝統(でんとう)です。
外宮の正宮(しょうぐう)は正式(せいしき)には豊受大神宮(とようけだいじんぐう)とよばれています。また、いくつかの別宮があり、それぞれ異(こと)なる神をおまつりしています。
別宮
■多賀宮(たかのみや)
多賀宮(たかのみや)には、豊受大御神荒御魂(とようけのおおみかみのあらみたま)がまつられています。外宮の中で一番大切な別宮で、建物(たてもの)は正宮の次(つぎ)に大きいです。神さまの力づよく元気(げんき)な心をあらわしています。
■ 土宮(つちのみや)
土宮(つちのみや)には、大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)がまつられています。この神さまは、土地(とち)や川(かわ)をまもる神として信(しん)じられています。外宮の別宮の中で、東(ひがし)を向(む)いているのはこの宮だけです。
■風宮(かぜのみや)
風宮(かぜのみや)には、級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)がまつられています。この神さまたちは、風(かぜ)や雨(あめ)をつかさどる神です。昔から、農作物(のうさくぶつ)をまもる大切な神としてていねいにおまつりされています。
内宮(ないくう)
内宮は伊勢市宇治館町(うじたちまち)、五十鈴川(いすずがわ)のほとりにあります。約2000年の歴史を持ち、伊勢神宮の中心で、もっとも尊(とうと)いお宮とされています。
日本神話(にほんしんわ)の中心的存在(ちゅうしんてきそんざい)である天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつっています。天照大御神は太陽(たいよう)の神であり、命(いのち)の恵(めぐ)みに感謝(かんしゃ)する象徴として、古来(こらい)より多くの人々にあがめられてきました。
宇治橋(うじばし)

五十鈴川の清(きよ)らかな流(なが)れや、1000年をこえる社殿(しゃでん)が伝(つた)える静寂(せいじゃく)と神秘(しんぴ)の空気(くうき)は、訪(おとず)れる人に特別(とくべつ)な感動(かんどう)を与(あた)えます。
内宮の入口には、現世(げんせ)と神域(しんいき)を結(むす)ぶといわれる宇治橋(うじばし)がかかっています。五十鈴川に架(か)かる純日本風(じゅんにほんふう)の反(そ)り橋(ばし)で、ここを渡(わた)ることで日常(にちじょう)から神聖(しんせい)な世界(せかい)へと心が切(き)り替(か)わります。
内宮は、中心(ちゅうしん)となる正宮「皇大神宮(こうたいじんぐう)」、そして別宮(べつぐう)である「荒祭宮(あらまつりのみや)」と「風日祈宮(かざひのみのみや)」によって構成(こうせい)されています。
別宮
■ 荒祭宮(あらまつりのみや)
荒祭宮(あらまつりのみや)には、天照大御神荒御魂(あまてらすおおみかみのあらみたま)という神(かみ)さまがまつられています。この神社は内宮の中で、正宮の次に大きく、大切な別宮です。荒御魂(あらみたま)とは、天照大御神の力づよく、いさましい心のことをいいます。人々は、元気(げんき)や勇気(ゆうき)をあたえてくれる神さまとして、この宮を信仰(しんこう)しています。そのため、困(こま)ったときに力をもらいたい人たちが、ここにおまいりに来ます。
■ 風日祈宮(かざひのみのみや)
風日祈宮(かざひのみのみや)には、級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)という二柱(ふたはしら)の神さまがまつられています。この神さまたちは、風や雨をつかさどり、農作物(のうさくぶつ)をまもる神として古(ふる)くから信(しん)じられています。また、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の御子神(みこがみ)でもあり、外宮の風宮(かぜのみや)と同じように、大切におまつりされています。風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)からは、季節(きせつ)ごとにうつくしい新緑(しんりょく)や紅葉(こうよう)を見ることができ、ゆったりとした時間(じかん)をすごせます。
年中行事(ねんじゅうぎょうじ)とおまつり
伊勢神宮(いせじんぐう)では、一年を通(とお)してたくさんの神事(しんじ)や行事(ぎょうじ)が行(おこな)われています。
それは、国(くに)の平和(へいわ)と人々の幸(しあわ)せを祈(いの)るためです。日本は昔から「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」と呼ばれ、水と稲(いね)にめぐまれた国とされてきました。お米(こめ)は食べものとしてだけでなく、神さまへの大切なお供(そな)えものでもあります。神宮では、稲が芽(め)を出し、実(みの)るまでの一年(いちねん)の流れに合わせて、年間(ねんかん)約1500回のおまつりが行(おこな)われます。その中で、大御神のめぐみに感謝(かんしゃ)し、「国がやすらかで、人々が幸(しあわ)せでありますように」とお祈りしています。

春(はる)と秋(あき)には神楽祭(かぐらさい)、夏(なつ)には神宮奉納花火大会(じんぐうほうのうはなびたいかい)で約9000発(はつ)の花火(はなび)が夜空(よぞら)を彩(いろど)ります。また、神宮奉納大相撲(じんぐうほうのうおおずもう)など、四季(しき)を通(とお)してたくさんの行事(ぎょうじ)が開(ひら)かれています。
近くも楽しい!
内宮の近くにある、おかげ横丁(よこちょう)などで伊勢志摩のグルメを楽しむのもおすすめです。
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マナーとアドバイス
- 神宮内では、静(しず)かに行動(こうどう)しましょう。大声(おおごえ)や走(はし)ることは控(ひか)えましょう。
 - 写真(しゃしん)を撮(と)るときは、ルールを守り、神殿(しんでん)や参拝(さんぱい)している人の邪魔(じゃま)にならないように注意(ちゅうい)しましょう。
 - 五十鈴川で手(て)や口(くち)を清(きよ)める作法(さほう)や、正しい参拝(さんぱい)の作法(さほう)を学(まな)ぶと、より意味(いみ)を感じられます。
 - 神域(しんいき)ではゴミを捨(す)てず、きちんとゴミ箱に入れるようにしましょう。
 - 長時間(ちょうじかん)歩(ある)くこともあるので、水分(すいぶん)補給(ほきゅう)を心がけ、歩きやすい靴(くつ)をはきましょう。
 
おわりに
伊勢神宮は、古くから日本の人々にとって特別な場所です。外宮と内宮の両方(りょうほう)、またはすべてのお宮を訪(おとず)れることで、神宮と自然の美(うつく)しさや歴史(れきし)の深(ふか)さなどをより強(つよ)く感じられます。作法やマナーを守りながら、静かで心豊(ゆた)かな参拝を楽しんでください。きっと、特別な思(おも)い出になります。


